旧豊後森機関庫・転車台

更新日:2021年04月01日

 登録された文化財(平成24年8月13日登録)は下記の2件。

  1. 旧豊後森機関庫(きゅうぶんごもりきかんこ) 1棟
  2. 旧豊後森機関庫転車台(きゅうぶんごもりきかんこてんしゃだい) 1基

これまでの取り組み

 旧豊後森機関庫をめぐる地元住民等による保存運動が本格化したのは昭和末期、平成13年には保存のための署名活動を行い、玖珠町の人口(平成13年3月末の人口 19,542人)を上回る22,437人の署名を集め、町内だけでなく町外の多くの人達からも関心を集めていた。さらに、この年には豊後森機関庫保存委員会も立ち上げられ、旧豊後森機関庫の文化財登録原簿への登録(登録有形文化財)を目指し活動を開始していく。このような取り組みを背景とした地元住民等の熱意が伝わり、平成17年には玖珠町がJR九州から旧豊後森機関庫を含む土地を購入した。

 その後、旧豊後森機関庫の維持保全活動を行うと共に、これからの活用方法を検討・創出し、機関庫の活用を図ることにより「豊後森機関庫の保存」と「機関庫を核としたまちづくり」を推進していくことを目的とし、豊後森機関庫活用推進協議会も発足した。

 また、平成15年からは旧豊後森機関庫前で、玖珠町商工会主催の機関庫まつりを開催しており、平成24年は節目の10回目となる。さらに、これらの取り組みを盛り上げるために、機関庫弁当やイメージキャラクターを作り、さまざまなPRに活用しています。

 機関庫周辺の草刈りや日常的な管理においても保存会・協議会を中心とした地元住民のボランティアと玖珠町役場が協力して行っている。

 このように旧豊後森機関庫は、地元の商工会や保存会・協議会が中心となって保存活動やPR活動を積極的に行っている。その地元住民を含む多くの人達が、国の登録有形文化財となることで、旧豊後森機関庫を活かした更なる活性化・まちづくりが進むことを切に願っている。

旧豊後森機関庫・旧豊後森機関庫転車台の概要

 久大線は大正9年から建設が始まり、昭和4年には豊後森駅が開業、昭和9年に久大線が全通した。機関区の設置は、昭和8年に森町に決定し、昭和9年に豊後森機関区が発足した。旧豊後森機関庫は、当初10両機関車庫と機関車庫西端部に技工長室・道具置場がつくられ、その後2両分の機関車庫が増築された。石炭や水等の補給基地として、また急峻な水分峠越えを行うための機関車の交換等で豊後森機関区は非常に重要な役割を果たした。最盛期は昭和23年頃で、車両25両・乗務員他職員217名の配置があったといわれる。

 また、昭和20年8月4日には、軍事輸送の拠点となっていたため米軍機の機銃掃射にあい、職員3名が死亡するという惨事も起きた。機関庫の壁には現在も機銃掃射の跡が残っている。

 昭和45年9月の久大線無煙化により蒸気機関車が姿を消すと、翌昭和46年4月に豊後森機関区は廃止となる。現在は線路が外され、扇型機関庫と転車台が残るのみとなっている。

 その豊後森機関区の中心的建造物である、旧豊後森機関庫は、JR久大本線豊後森駅の南東側に位置し、直径18.5メートルの転車台を中心に半径47.84メートルで放射状に広がっている。構造物は、鉄筋コンクリート造・陸屋根で扇形の機関庫(車両12台収容可能:両端部に技工長室と工具室を設ける)と機関車を車庫に導く鋼鉄製の転車台からなる。転車台の建築面積は268.66平方メートル、直径18.5メートル、主桁は鋼鉄製で、鉄製の運転室が現存している。放置されて40年の経過により、全体は錆色に包まれているが、運転室は窓の木枠や操作盤などが良い状態で残り、風化を感じさせない。また、土台部分はコンクリート構造で、かつてはここから放射線状に多数の線路が駅や機関庫に分岐していた。竣工は昭和9(1934)年、施工者は間組であるが、設計者はわかっていない。増築には、地元の河野組が工事にかかわっている。

 かつて九州各地にあった扇形機関庫は、機関庫廃止や老朽化などにより解体され、現在では九州唯一の扇形機関庫となった。また、70年以上にわたりこの地域に建ち続けている玖珠町のシンボルであるともいえる。

建物が横長の扇形に造られ、蔦が絡まっている旧豊後森機関庫の写真

旧豊後森機関庫全景

奥に扇型機関庫の建物があり、手前に一段低く円形の中央に錆びれた転車台の写真

旧豊後森機関庫(転車台と扇形機関庫)

奥に煙に霞んだ旧豊後森機関庫があり、手前に5名の作業員が座っている左側に走ってきている機関車の古写真

旧豊後森機関庫と機関車(古写真)

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